資料 四代正八幡宮神社地問題を理解するために

 

八幡神社地の性格と法律的根拠

 

1.山口県熊毛郡上関町長島の四代地区に鎮座します八幡宮の基本財産である神社地は、地域の人々に八幡山と呼ばれ、今日まで大切に維持されてきました。

 

2.昭和20年9月、豪雨による地すべりによって八幡宮の社殿が倒壊し、この神社地を売却して社殿債権の費用に充てよう、などという人は誰一人いませんでした。

地域の人々に八幡山と呼ばれ、親しまれてきたように、この神社地に生える樹木は神聖なものとして、誰も伐りだすものはいませんでした。四代地区の人々にとって、八幡宮の八幡山(神社地)は、それほど大切にされてきた土地なのです。

 

3.なぜ八幡宮の本件神社地が、地域の人々に大切にされてきたのでしょうか。それは、この神社地が八幡宮の存続にとってなくてはならない大切な基本財産だからであります。

明治時代後半から大正時代の初めにかけて、当時の政府の方針で土地の狭い神社やお寺は廃止するという異常な政策がとられました。これは山口県だけでなく全国的に行われたのですが、これによって全国の神社は半数に減ったと言われています。四代地区の八幡宮も廃止されるところだったのです。当時、八幡宮の土地(境内地)はおよそ200坪しかなく、このままでは神社として認められずに政府の命令によって潰される運命にありました。

 

4.八幡宮が潰されてしまうと、四代地区の地域の人々に精神的・信仰的な拠り所はなくなってしまいます。そこで、地域の人々が一体となって神社地(八幡山)を確保し、かつ維持することによって八幡宮を守ってきたわけなのであります。この神社地が無ければ、今日、八幡宮は四代地区に存続することができなかったわけであります。このような歴史的な事情ゆえに、本件神社地はそこに生える樹木を伐り出すものがいないほど神聖なものとして維持されてきたのです。

 

5.以上、述べました歴史的な事情ゆえに、本件神社地は、つまり、境内地ないし準境内地として扱われてきたのです。

   宗教法人法第3条には、神社や寺院の境内地の法的規定があります。その第3条5号には「庭園、山林その他尊厳又は風格を維持するために用いられる土地」とありまして、八幡宮の本件神社地は、宗教法人法からいえば、まさしくこの条文に該当する境内地なのであります。

   法律的に、八幡宮の本件神社地は八幡宮の財産でありますので、これを売却することは法律的に違法なことであります。

 

6.宗教法人法以下の現行法制度の下では、基本財産である神社地の売却は不可能なことになっています。以下、3点に要約いたします。

 

  一.宗教法人法第18条の5項には、「その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない」と規定されています。宗教法人である八幡宮は、宗教法人法という法律に法的に規制されるとともに、この法律によって保護されているわけであります。八幡宮は宗教法人ですので、この宗教法人法の規定を厳守しなければなりません。厳守すれば、八幡宮の本件神社地を「他の目的」のために売却することはできません。売却することは、まさに法律的に違法なことであります。

 

  二.また、宗教法人八幡宮は、宗教法人神社本庁に所属しています。したがいまして、当然、神社本庁の憲法ともいうべき神社本庁憲章守らなくてはなりません。宗教法人第18条5項だけでなく、神社本庁憲章第10条においても、

 

「神社の境内地等の管理は、その尊厳を維保持するため次の各号に定めるところによる。

   一 境内地は、常に清浄にして、その森厳なる風致を保持すること。

   二 境内地、社有地、施設、宝物、由緒に関はる物等は、確実に管理し、みだりに処分しないこと。

   三 境内地及び建物その他の施設は、古式の制式を重んずること。

   四 前号の施設は、神社の目的に反する活動に利用させないこと。」

 

  と、規定されています。

   八幡宮の神社地は、まさに神社本庁憲章第10条2号の「境内地、社有地、施設、宝物、由緒に関はる物等は、確実に管理し、みだりに処分しないこと。」に該当し、売却することはできません。

 

  三.上記の宗教法人法第18条5項、神社本庁憲章第10条2号の規定を裏付けるものとして、神社本庁は、通達(総神発第五二七号)を神社本庁に属する全国の神社に出しました。この通達は、大変重い意味を持ちます。

   すなわち、この通達にはこのように記されています。

 

  「通信用鉄塔施設(約三十米〜四十米)」の設置にあたり、電気通信事業者に貸し付ける場合においても、「境内地以外の神社有地においても神社永続の基根をなす大切な基本財産であるので、真に已むを得ない事情がない限り、当該施設用地としての貸付け派慎重を期さなければならない」(境内地及び神社有地における携帯電話等通信用鉄塔施設々置について)

 

  以上3点に要約いたしました法的根拠からみても、八幡宮の基本財産であります、本件神社地は、売却することは法律的にまさに違法な行為なのであります。

7.八幡宮の神社地を売却することは、法律的にみても違法な行為であり、なんとしても八幡宮の神社地が売却されるようなことは禁止されなければなりません。



賛同署名のページへ